まさかりが淵

  • 2006.09.03 Sunday
  • 19:56
まさかりが淵 

まさかりが淵…

いかにも物語性を秘めた名前だ…

そして物語はあった…

むかし…むかし…

彦八という若い木こりがいた。

ある日、いつものように彦八は山に木を切りに行った。

で、夢中になっているうちに「まさかり」が手からすりぬけて吹っ飛んだ。

そのまさかりが滝壷に落っこちた。

慌てた彦八は滝壷をのぞくと…

なんと!

滝壷の底から光があふれ、その水の中では美しい姫が機を 織っていたのが

見えたという。

彦八は思い切って、


 「私のまさかりをとってください」


と頼んだ。 と、ここまで聞くと、有名な


 「金の斧・銀の斧」


のお話のようなのだが…

なんと、姫はすんなり、彦八のまさかりを返してくれる。

さらに、彦八のまさかりが滝の魔物を退治してくれたのだという。

その御礼に、三日間、彦八は姫にご馳走を振舞われる。

で… 

ここでお約束。

 「このことを誰かに言ってはいけませんよ。

もしも誰かに話せばあなたの命がなくなります。」


で、彦八は命が欲しいので「誰にも話すものか!」と思い、家路に着く。

しかし、ここからがミステリーなわけで…。

なんと、彦八が家に着くと、近所のものや親戚が大勢集まって

法事の真っ最中
 

だったのだ。 で、彦八を見つけた家族はびっくり仰天!

 「死人が戻ってきた!」

と大騒ぎ。

つまり、法事とは彦八の三回忌で、彦八が木を切りに行ったきり、 戻らない

のでてっきり死んだものだと思い、早くも三回忌を 迎えていたという…。

ということは彦八が三日間の出来事だと思っていたのだが、 村では

丸二年の歳月


が流れていたのだ…。

家族や親戚は彦八に何があったのか、当然知りたいわけで、

みんな入れ替わり立ち代り問いただす。

 彦八は死にたくないので黙っていたのだが、父母がどうしてもわけを 聞かせろと

せがむので、まさかりが淵での出来事を話してしまう。

その瞬間、彦八はその場にバッタリと倒れてそのまま息絶えたという…。

 それ以来、ここの滝壷のことを「まさかりが淵」と呼ぶようになったのだ そうな。

 まさかりが淵

《今でも伝説の雰囲気のあるスポットです…》


この伝説にはいくつかの要素が組み込まれている。

彦八と村の時差は 龍宮城での出来事が何百年もたっていたという浦島太郎の

イメージが 浮かんでくるし、まさかりを池に落とすところは、金の斧・銀の斧の お話

にも通じる。

また、民話にはつき物である異界の者との「約束」。

 しかもそれを破ると必ず致命的な事件が発生する。 運悪く、見てはいけないものを

みてしまった彦八の悲しい末路。

なんとも、味わいの深い伝説ではある。 その伝説のイメージもそのままに、今でも

まさかりが淵の辺りは かなり鬱蒼とした木々が生い茂っている。

小規模ながらかなり水量の ある滝を見ることができ、なかなかの癒しのスポット。

 彦八の供養塔もあるので、話にちょっと真実味をもたせている。

まさかりが淵

《彦八の供養塔と伝えられている石碑》

まさかりが淵





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